藤田嗣治(1886〜1968年)が12点の挿絵を手掛けた『夜と猫』。本作品はそのうちの1点です。
※今作は挿絵部分も印刷物であり「版画作品」ではありません。公式な仕様であり作品の価値や意義が変わるものではないため、ご承知いただいたうえで、「1950年制作の挿絵本作品」としてお楽しみください。
額サイズ:縦235×横290×厚さ20(mm)、額重量:約500(g)。
作品の保管・管理に空調など特別な設備は必要ありません。直射日光、過度な湿気、たばこの煙にだけご注意ください。新品の額と箱、ネームプレート、壁側の取付け用金具が付属します。
第一次世界大戦(1914年〜1918年)の戦渦ののち、復興の好景気を追い風に藤田は1920年代に急速に名声を高めてパリで時代の寵児となります。
藤田は乳白色の肌色を用いた透き通るような画風で自らの地位を確立し、経済的な成功も手にしました。
そして、1920年代初頭からはモチーフにも晩年まで描き続けることになる新たな主役 「猫」 が登場します。
はじめは乳白色で描かれた裸婦や肖像画の脇役として。やがて面相筆によるきめ細かな描線を活かした、猫だけを主役として描いた作品も多数発表されます。
今作品『夜と猫』は、アメリカの女流作家エリザベス・コーツウォースの猫をテーマとした詩集に藤田の12点の挿絵を収録してニューヨークで1950年に出版された挿絵本です。(※今作は通常は版画作品の扱いで流通していますが、厳密な意味では印刷物であり「版画作品」ではありません。ご承知いただきましたうえで「挿絵本作品」としてお楽しみください。)
藤田は1933年以降、大戦終結まで日本に活動拠点を戻しています。
戦時中は「従軍画家」として戦争画を描いた藤田は、戦争協力者として戦後の日本の画壇や一部世論から批判を受け、パリへの帰還を切望するようになります。このことは後のフランス帰化の原因の一つでもあり、1949年に日本を出国して以降、二度と祖国の土を踏むことはありませんでした。
日本を離れることを決意した藤田はパリに戻る前に1949年の約1年間ニューヨークに滞在しており、この間にこの作品の出版話がまとまったと言われています。
藤田は1930年にも20点の猫の挿絵を提供した『猫の本』をニューヨークで刊行し好評を博していました。
1945年の終戦からわずか4.5年という時期に、敵国だった日本人である藤田の作品が改めてニューヨークで出版されたという事実は、いかに藤田嗣治という画家が世界的に評価されていたかの裏付けといえるかもしれません。
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